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街づくりの思いと本でつながるコミュニティデイ

更新日:2021年9月28日


「私自身はその、震災とかを受けて、福島県からやっぱり人がそもそも、流出していたり、コミュニティ自体がちょっと減ってきているっていう現状は、何かできないかなって、ずっと感じてたんですけど。その中で、小さな町とかから、少しずつ始めていったら、小さな変化だとしても、何かおもしろい変化が起こるんじゃないかっていうのを、建築学科として何かできないかなっていうのを、考えてまして。」


控えめながらも瞳に力を宿し、そう語った橋本結衣さんは、卒業研究として『街全体を図書館に』プロジェクトを主導している。このプロジェクトは、矢吹町内に本と出会いやすい場を作り、本と人との新しい関係性を構築することを目的としている。





 橋本さんは、震災による福島県の人口流出、コミュニティの減少に対し、建築からアプローチして何かできないかとずっと考えていたところ、所属していた研究室の先生からこのプロジェクトを持ち掛けられた。


その際、影響を受けた地元の複合施設 tetteに、このプロジェクトが類似しているように感じたという。

tetteは「創造的復興」を目指した、図書館機能をはじめとする様々な機能を持った施設で、中は吹き抜けとなっており自由に行き来できるとか。


「本と建物がすごい融合してる場所で。歩いてて、いろんなところに通じてるので、建物を巡りながら、ちょっと街を歩いているような感じがありまして」


tetteで実現されている”本と建物の融合”におもしろさを感じ、それを街でできたらと、このプロジェクトを引き受けた。




直接人と話す機会がどんどん失われている現代。

そして、震災によってそれが加速したと橋本さんは話す。


震災により人の流出、生活の流れの変化があったと矢吹町の商店街の方々から伺った。

橋本さん自身も被災し、矢吹町内で起きていることと同様のことが周囲で起きていると感じていた。

そんな今だからこそ、2つの課題を解決する手だてにと、商店街や小、中学校の通学路に本棚を設置するという小さな変化を生み出してみようと試みる。





「人と、街と、本と、お店とかを、そこのすべてを繋げるのは難しいんですけど。本棚をそこの真ん中に置くことで、何か新しい、本を介して繋がりみたいなのができるんじゃないかなって。そしたらいろんな効果が生まれる。本棚を介して、いろんな繋がり方が生まれるのがおもしろいって」


本棚を設置する場所は主に矢吹町の商店街、大池公園で、他にも小、中学生の通学路に設置を予定している。

商店街には学生が立ち寄りやすい場所が少ないため、帰りにちょっとした寄り道をしながら利用してもらえたらと話す。


高齢者間の交流も想定し、加えて、学生向けには新しい居場所としての機能、ちょっとした交流も期待する。

大池公園で実施する青空図書館では、よりフランクにお話できる場、コミュニティ的な役割を持たせ、年齢問わず交流できたらというのがねらいだそうだ。



本が好きだと顔をほころばせ語った橋本さん。

近年は電子書籍が普及し、本がなくなるのではと危惧されているが、橋本さんはこう語る。


「本ってなくならないなと思って。紙であるのは結構私は好きなんですね、本が。

絵本とかがすごい元々好きで。絵にちょっと言葉があるだけで、絵本って成り立ってるのが、すごい好きで。子供への読み聞かせとかがすごい元々、おもしろくて好きなので。一緒に読めるのが、紙であれば、めくるときの楽しみっていうのも、あったりして。あと、本っていろんな楽しみ方があるんだろうなってのは感じますね」


モノとして存在するからこそ、多様な楽しみ方があると語る。


また、地域の方々に話しかけられ、語らうことも好きだという。

相手のことは知らないはずなのに、気軽に会話できる。

深いかかわりではなくても、ちょっとした会話が生まれるのは町があるからだと橋本さんは話す。


「ちっちゃい街であったり、繋がりがあるから、おじいちゃんおばあちゃんが話しかけやすかったり、そういうのが楽しいんで。それが、例えば今回のプロジェクトでも、話しかけるきっかけが、何か、全てにおいてきっかけってもちろん必要だと思うんですね。そのきっかけっていうのを作れたらもっと、コミュニケーションとか取りづらい現代でも何かが、新しい効果みたいなのが生まれるのかなって思って。」






本棚や青空図書館を交流のきっかけにと、小さいながらも新しい挑戦を始めた橋本さん。


橋本さんは以前、先輩の研究で地元・須賀川市に出向いた際、須賀川市民の方々が、様子を見に来られたり、その研究に関わっているのを目にした。


関わる方々が街への熱い気持ちを語っているのを聞き、

「あっこういう人たちがいるから、町がまず成り立っているっていうのは感じて。で、そこに買いに行く人が、住んでる人達がいるから、街ができあがって。実際って、その街で暮らしている人たちがいるからこそ街って成り立っていくものであって。で、それが積み重なって街が作られていくもので…」

と街の成り立ちに思いをはせた。


街、町民という基盤があってこその、街づくり。

「自然と街づくりにかかわってみてほしいみたいなところもちょっとあって。そのきっかけみたいなのとして、本棚が」。


橋本さん自身の本の楽しみ方は、読むだけでなく「表紙だけ眺めるとか、ちょっと1,2ページぱらっと見てみること」と話した橋本さん。


本・図書館、人との交流が好きという気持ちから始動したこのプロジェクトを通し、様々な人とかかわるようになり、周囲の人の支えをより強く感じるようになったという。


「自身も何か支えられるような人になりたい」

そう語っていた彼女の瞳は、いきいきと輝いていた。




本棚の設置


9月21日に

無事に町内3か所に本棚を設置することができました!!



詳しくは下記より!!


https://yabukichiikiokoshi.wixsite.com/yabukifsng/post/本棚の設置『よりみち-まち全体を図書館に-』

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